「病気」という言葉の矛盾
私たち人間を含め、すべての生命には「自己治癒力」や「自己制御機能」が備わっています。ホメオスタシス(生体恒常性)と呼ばれる働きによって、体は常に健康を保とうと調整しているのです。
細胞も本来は、遺伝子レベルで正常に働くようプログラムされています。つまり、基本的には“健康でいること”が設計上の当たり前。ではなぜ、異常を起こし「病気」になるのでしょうか?
現代医療における「病気」と「健康」の捉え方
一般的に「病気」は、診断名や症状があるため“実体のあるもの”として認識されます。一方で「健康」は「病気がない状態」と説明されることが多く、やや曖昧なイメージを持たれがちです。
たとえば「病気とは何か?」と聞かれれば、多くの人が答えられます。しかし「健康とは何か?」と問われると、言葉に詰まってしまう人も多いのではないでしょうか。これは、病気を“実在するもの”として強く認識しているからです。
カイロプラクティック的な視点
カイロプラクティックでは逆に、「健康こそが実体を持つもの」であり、「病気は健康が欠けた状態」と考えます。
イメージしやすいのは「光」と「闇」の関係です。光は実体があり、測定でき、つくり出すこともできます。しかし闇は実体がなく、光が存在しないときに現れる状態にすぎません。
同じように、健康には実体がありますが、病気は“健康が不足した状態”でしかないのです。
病気は「敵」ではなく「サイン」
もし病気を実体あるものとして捉えると、「病気と戦わなければならない」「病気を恐れるべきだ」という意識になってしまいます。
しかし実際には、病気は体が発する警告サインにすぎません。大切なのは、そのサインを怖がることではなく「何を改善すれば体が元に戻るのか」を理解し、適切にケアしていくことです。
すでに私たちの中にある「健康」
本来、私たちの体には自己治癒力が備わっています。環境を整えてあげれば、体は自然と健康を回復しようとします。つまり健康とは“外から与えられるもの”ではなく、もともと体の内に存在しているものなのです。
病気に目を向けて戦うのではなく、健康を育む行動に意識を向けること。これこそが、不安に支配されず、充実した人生を歩むための第一歩です。