実は、膝の痛みの原因は、膝関節そのものではないことがほとんどです!
私たち人間の体には、約260個もの関節が存在しています。関節とは、骨と骨が連結し、動きを生み出すための重要な構造です。
人は1日におよそ10万回も関節を動かしているといわれており、それだけに関節には高い耐久性と柔軟性が求められます。
中でも膝関節は、股関節と足関節の間に位置する重要な関節であり、日常生活のあらゆる動作に関わっています。
立ち上がる、座る、歩く、走る、止まる、跳ぶ──こうした何気ない動きのすべてに膝関節は使われているのです。
そのため、膝関節には多くの筋肉・腱・靭帯が関与し、強力に補強されている構造となっています。
膝は「蝶番(ちょうつがい)関節」と呼ばれ、ドアの蝶番のように基本的には一方向(曲げ伸ばし)にのみ動く関節です。
同じ構造の関節には、肘や指の関節などもあります。
とはいえ、健康な膝関節であれば、ただ曲げ伸ばすだけでなく、方向転換や体重のコントロールなど、より複雑な動きにもスムーズに対応することができます。
膝関節は人体の中でも特に大きな関節の一つで、3つの骨から構成されています。
・太ももの骨(大腿骨)
・すねの骨(脛骨)
・そして膝のお皿(膝蓋骨)
膝のお皿は、大腿前面の筋肉と脛骨をつなぐ腱の途中にあり、膝を伸ばすときに滑車のような役割を果たして力を伝えている、非常に重要な構造です。
しかし、ひとたび膝に不調が出ると、日常の何気ない動作にまで支障が出てしまいます。
片側の膝の痛みが改善したと思ったら今度は反対側が痛み出す、あるいは一度は良くなってもまたぶり返す──そういった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
半月板損傷や前十字靭帯損傷、あるいはオスグッド病など、膝に関する診断名を受けても、どうすれば完治できるのか悩み続けている方は少なくありません。
今回のコラムでは、膝関節の基本構造や働き、痛みが起きる仕組みを正しく理解すること、そしてカイロプラクティックの視点から見た根本的な対策法について詳しく解説していきます。