肘の不調の多くは、肘関節そのものだけが原因ではありません!
人間は1日におよそ10万回もの関節運動を行うと言われており、それだけに関節には非常に高い耐久性が求められます。中でも肘関節は、肩と手の中間に位置し、日常生活においても重要な働きを担う関節のひとつです。
肘関節は、生活のあらゆる場面で使用されており、朝起き上がる時、顔を洗う時、歯磨きや着替え、食事、靴の脱ぎ履き、歩行、スマートフォンの操作、パソコン作業、家事、さらにはお風呂で髪を洗う時など、一日中休むことなく動き続けている関節です。
このため、肘関節は多くの筋肉・腱・靭帯によってしっかりと補強されています。構造としては「蝶番(ちょうつがい)関節」と呼ばれ、ドアの蝶番のように基本的には一方向にしか動かない設計ですが、その中でも大きな可動域が確保されているのが特徴です。
たとえば、肘の屈曲(曲げる)動作では最大で約140度まで曲げることができ、前腕の回旋(手のひらを上下に向ける動作)では約180度の動きが可能です。下肢(足)に比べ、遥かに繊細で多様な動きが求められる関節であり、そのぶん負荷も蓄積しやすくなります。
肘関節に不調があると、当然ながら日常生活のさまざまな動作に支障が出てしまいます。
肘のトラブルでよく聞かれるのが「テニス肘」や「ゴルフ肘」といったものですが、実際にはスポーツをしていない方でも、同様の症状を抱えるケースは少なくありません。
近年では、スマートフォンやパソコンなどの使用時間が増えたことにより、日常的に手や指を細かく動かす機会が増え、肘への負担がさらに高まっているのが現状です。スポーツによる大きな負荷だけでなく、デジタル機器による“積み重なった小さな負荷”が肘に大きな影響を及ぼすことも明らかになってきています。
本コラムでは、肘に関する正しい知識とともに、カイロプラクティックによるアプローチ方法についてわかりやすく解説していきます。